転職や復職で病院や施設を見学するとき、何を基準に評価すれば良いか迷うことが少なくありません。看護師の仕事はチームワークや安全管理が命に直結するため、事前にチェック項目を整理しておくことで、本当に自分に合った職場を見極めやすくなります。ここでは見学前に押さえておくべき五つのポイントを、背景となる情報とあわせて詳しく解説します。
1 看護師と補助者の配置バランスを確認
急性期病院では「7対1配置」(7人の患者に対し看護師1人)など、看護必要度で人員基準が定められていますが、実際に補助スタッフや事務員との連携も見逃せません。見学時にはシフト表を見せてもらい、看護師一人あたりの平均担当患者数や夜勤帯のサポート体制、欠員時の補充方法などを質問しましょう。適切な配置は業務負荷の偏りを減らし、長時間働いても疲労が蓄積しにくい環境づくりにつながります。
2 情報共有と申し送りの実態
患者情報の伝達不足は医療事故リスクを高めるため、カンファレンスや申し送りの運用状況は必ず確認したいポイントです。定例ミーティングの頻度、電子カルテ連携の有無、手書きノートのフォーマットなど、具体的な運用方法をヒアリングします。効率的かつ標準化された情報共有が行われている職場は、トラブル発生時の対応力が高く、教育や新人指導にも良い影響を与えます。
3 患者層とケアの専門性を把握
見学中には、病棟や訪問先で扱う患者の年齢層や疾患の種類、重症度を観察しましょう。小児、緩和ケア、在宅看護、透析管理など専門領域によって必要なスキルや体力が異なります。また、認定看護師や専門看護師の配置状況や、研修制度の有無をチェックすると、新しい分野に挑戦できるかの目安になります。専門性の高い環境は、キャリア形成やスキルアップの機会を多く提供してくれます。
4 安全管理と感染対策の徹底度
- 手指消毒ステーションの配置数や消耗品補充頻度
- 個人防護具(PPE)の保管方法と着脱ルール
感染対策マニュアルが最新化されているか、定期的な訓練や教育が実施されているかを確認します。JCI認証やISO取得状況を聞くことで組織全体の安全文化が推測でき、安心して働ける職場かどうか判断できます。感染対策の徹底は、自分だけでなく患者やチーム全体の健康を守る基盤です。
5 教育制度とキャリア支援の充実度
- 新人研修・フォローアップ研修の種類と頻度
eラーニングや院内勉強会、認定看護師取得支援制度の有無を確認しましょう。メンター制度や相談窓口が整備されている職場は、未経験者やブランク明けの復職者でも安心して学べる環境と言えます。継続的にスキルアップできる仕組みがあると、モチベーション維持とキャリア形成に大きなプラスになります。
まとめ
看護師・補助者の配置、情報共有、患者層、安全管理、教育制度の五つのポイントを押さえて見学前に準備しましょう。チェックリストを持参して現場でメモを取り、疑問点は積極的に質問してください。事前準備を徹底することで、自分に最適な職場環境を見極める精度が高まり、転職成功につながります。